コミュニケーションの出発点ともいえる「聞く力」
こんにちは!
第1回では、なぜ今コミュニケーションが大切なのかについてお話ししました。
今回は、コミュニケーションの出発点ともいえる「聞く力」について、一緒に考えてみましょう。
■ 聞くこと=受け身、ではありません
「聞く」と言うと、ただだまって相手の話を聞いていればいいと思いがちですが、実はそうではありません。「聞く」には、相手の気持ちや考えを受け取り、共感し、理解しようとする“能動的な行動”が求められます。
たとえば、「傾聴(けいちょう)」という言葉をご存じですか? 傾聴とは、耳を傾けて心を込めて相手の話を聞くこと。単なる情報の受け取りではなく、相手の心に寄り添う聞き方です。
■ 聞く力が関係を変える ― 事例紹介
【事例1:職場での信頼が深まったAさんの話】
30代のAさんは、同僚Bさんとの関係に悩んでいました。Bさんはいつも不機嫌そうで、話しかけるのが怖かったそうです。ある日、勇気を出して「最近、元気ないけど大丈夫?」と声をかけ、静かに話を聞いてみました。
Bさんは最初、警戒していたものの、Aさんがうなずきながら「そうだったんですね」「それはつらかったですね」と共感を示すと、少しずつ心を開いていきました。
その日を境に、2人の関係は大きく変わり、今ではお互いに協力し合える良い関係になったそうです。
■ アクティブリスニングのポイント
聞く力を高めるためには、「アクティブリスニング(積極的傾聴)」という技術が役立ちます。
以下のポイントを意識してみましょう。
ポイント | 内容 |
---|---|
アイコンタクト | 相手の目を見ることで関心を伝える |
相づち | 「うん」「なるほど」「そうなんですね」などで受け止める |
言葉の繰り返し | 「〜だったんですね」と相手の言葉を繰り返して確認する |
共感の言葉 | 「それは大変でしたね」「わかる気がします」などの感情への共感 |
■ 聞くことで得られる3つの効果
聞く力を育てると、さまざまな良いことがあります。
- 相手の信頼を得られる →「この人なら話せる」と思ってもらえるようになります。
- 相手の本音が聞ける →安心して話してもらえると、表面的でない深い話が聞けるようになります。
- トラブルの予防・解決につながる →早い段階で悩みに気づき、対処することができます。
■ 子どもとの関係にも聞く力
聞く力は、家庭でもとても大切です。
【事例2:思春期の息子と向き合ったBさん】
Bさん(40代・父)は、反抗期の息子にどう接していいかわからず、いつも小言ばかり言っていました。ある日、仕事帰りに「今日は何か面白いことあった?」と軽く聞くと、息子がぽつりと「部活で褒められた」と話してくれました。
その時、「そうなんだ、がんばったんだね」とうれしそうに返したところ、息子の顔がふっと和らぎ、それから少しずつ会話が増えていったそうです。
■ おわりに
聞くことは、簡単なようで奥が深い行為です。ただ耳を傾けるだけでなく、相手の気持ちに寄り添う姿勢が大切です。今日から、誰かの話を聞くときに「聞く力」を意識してみてください。
次回は、「伝える力」についてお話しします。伝え方ひとつで、相手の受け止め方が変わる面白さを、例とともにご紹介します。お楽しみに!
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