第4回非言語コミュニケーション ― 言葉にしないメッセージの力
こんにちは!今回のテーマは「非言語コミュニケーション」です。
言葉で伝えることに注目しがちですが、実は人と人とのやり取りの大部分は、言葉以外の要素 … つまり、表情や声のトーン、身ぶり、視線など「非言語」によって行われています。
■ 非言語コミュニケーションとは?
言葉を使わずに気持ちや考えを伝える手段を「非言語コミュニケーション」と言います。
以下のようなものが含まれます。
非言語の要素 | 内容 |
---|---|
表情 | 笑顔、眉の動き、目の開き方など |
身ぶり・ジェスチャー | 手の動き、体の傾きなど |
声のトーン・間 | 話す速さ、高さ、強さ、沈黙など |
視線 | 見つめる、そらす、瞬きの頻度など |
姿勢・距離感 | 相手との物理的な距離、立ち方など |
これらは、言葉よりも速く、そして時に強く相手に影響を与えます。
■ 事例:表情が変えた教室の空気
F先生(40代・小学校教員)は、クラスの児童Gくんのやる気がない様子に悩んでいました。注意するとふてくされる、ほめても反応が薄い。ところがある日、授業中にGくんがちょっとした発表をしたとき、F先生が思いきり笑顔で「いいね!」と親指を立ててみたところ、Gくんは驚いた顔をしながらも嬉しそうに微笑みました。
その後、Gくんは少しずつ積極的になり、先生とのやりとりも増えたそうです。言葉よりも、表情やジェスチャーのほうが強く届いた瞬間でした。
■ 非言語が伝える“本音”
こんな経験はありませんか?
- 「大丈夫」と言っていたけど、顔がこわばっていた
- 「楽しい」と言いながら目が笑っていない
言葉と表情が一致していないと、私たちは「なんか違う」と感じます。これは、非言語情報のほうが“本音”を反映していることが多いからです。
米国の心理学者メラビアンの研究では、相手に与える印象のうち、言語情報(言葉そのもの)は7%、声のトーンが38%、表情など視覚情報が55%を占めると言われています(いわゆる「メラビアンの法則」)。
■ 日常でできる非言語の工夫
工夫のポイント | 具体例 |
笑顔を意識する | 挨拶するときに自然な笑顔を添える |
アイコンタクトをとる | 相手の話を聞くときに目を見てうなずく |
声のトーンをやわらかくする | 子どもに注意する時も、優しい声を心がける |
姿勢を開く | 腕を組まず、リラックスした姿勢で接する |
非言語の意識は、自分の印象をよくするだけでなく、相手に安心感を与える効果もあります。
■ おわりに
言葉だけでは伝わらない“気持ち”や“空気”を届けるのが、非言語コミュニケーションの力です。
ちょっとした笑顔やうなずきが、相手に「あなたの話をちゃんと聞いていますよ」というメッセージになります。
次回は、「コミュニケーションと感情」について取り上げます。
怒りや不安、嬉しさなど、感情をどう伝え、どう受け止めるかが、より良い関係づくりの鍵になります。どうぞお楽しみに!
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