感情とコミュニケーション~気持ちの伝え方・受け止め方
こんにちは!第5回のテーマは「感情とコミュニケーション」です。
人間は感情の生き物。うれしい、悲しい、腹が立つ、不安になる … こうした気持ちは、日々の対話の中で自然とあらわれます。けれども、感情の扱い方を間違えると、人間関係がこじれてしまうことも。
今回は、感情を上手に「伝える」ことと「受け止める」ことの両方に焦点を当てて、コミュニケーションをより豊かにするヒントをお届けします。
■ 感情は悪いものではない
まず大前提として、「感情=厄介なもの」ではありません。感情は私たちの大切な“サイン”です。
- 怒りは「困っている」「無理をしている」サイン
- 悲しみは「大切にしていたものを失った」サイン
- 喜びは「望みがかなった」サイン
このように、感情は自分を知る手がかりになります。そして、それをどう言葉にし、相手に伝えるかで、関係性が深まるかどうかが決まるのです。
■ 事例:怒りをうまく伝えたHさんのケース
Hさん(30代・営業職)は、同僚が約束の提出期限を守らなかったことに腹を立てていました。以前なら感情的に「どうしていつも遅れるの!?」と責めていたのですが、ある研修をきっかけに伝え方を変えました。
「○日までに資料が来ると思って準備してたんだけど、届かなかったから対応が遅れて困ったよ。次はどうすればうまくいくか、一緒に考えない?」
相手を責めずに、自分の感情と事実を冷静に伝えることで、相手も素直に謝罪し、改善策を話し合うことができたそうです。
■ 感情を伝える3つのコツ
コツ | 説明 |
---|---|
1. 感情を名前で呼ぶ | 「イライラする」「悲しい」「心配している」など具体的に伝える |
2. I(アイ)メッセージを使う | 「私は〜と感じた」と主語を自分にすることで、相手を責めない表現にする |
3. 落ち着いてから伝える | 感情が高ぶったときは、少し時間をおいて冷静になることが大切 |
■ 感情を受け止める力 ― 聞くときの姿勢
誰かの感情に向き合うとき、ついアドバイスや解決を急いでしまいがちです。でも、まずは「共感」が大切です。
【NG例】
- 「そんなことで怒るなんて子どもだね」
- 「気にしすぎじゃない?」
【OK例】
- 「それはつらかったね」
- 「そう感じるのも無理ないよ」
相手の気持ちをいったん“そのまま”受け止めることが、信頼関係を築く第一歩になります。
■ 感情の波に飲まれないために
感情は一瞬で大きく揺れ動きます。そんなとき、自分を客観的に見つめる「感情の観察」が役に立ちます。
【感情の観察シートの例】
状況 | 感じた感情 | 身体の反応 | 本当の気持ち | 対応策 |
上司に注意された | イライラ | 胸がドキドキ | 本当は落ち込んでいた | 一度深呼吸して話を聞く |
感情を整理することで、行動がより前向きになります。
■ おわりに
感情を否定せず、丁寧に扱うこと。それが、相手との関係を深めるコミュニケーションの基本です。
次回は、「相手に合わせる力」について考えていきます。
人それぞれ異なる価値観や性格にどう寄り添い、歩み寄るかを一緒に考えていきましょう。どうぞお楽しみに!
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